歯形を見せない
2026/07/17
先日、お茶のお稽古に行った時のこと。
お干菓子に、末冨さんの「うすべに」という
お菓子が出ました。
薄い麩焼き煎餅の間に
梅の風味の餡が挟まれたお菓子です。
私は菓子鉢から懐紙に取り分け、
そのままパクッといただいたところ、
「義永さん、歯形を見せない」
と先生から。
私は何のことかわからず、
お煎餅を持ったまま
きょとんとしていました。
すると先生が、
「お菓子に歯形を残すのは
よくないんです」
と教えてくださいました。
自分の手に持っている
お煎餅を見ると、
確かに、くっきり歯形が……
お煎餅の歯形をじっと見ていたら
先生が、
「そういう時は、
小さく一口大に割って食べるんです」
と教えてくださいました。
なるほど……
そういうことだったのか。
主菓子の生菓子は
菓子切りで切り分けていただきますが、
お煎餅のようなお菓子も、
食べやすい大きさに割ってからいただく。
そうすれば、
食べかけのお菓子に
歯形が残ることもありません。
でも、なぜ歯形を残すことが不作法と
言われるのかという疑問が残りました。
何となく
お行儀が良くないから
というのはわかりますが
どうしてお行儀が良くないのか
その原点も気になります。
そんなこと、
今まで考えたこともなかったのに。
お菓子に歯形を残すのが不作法と
言われる理由について調べてみたところ
・見た目に美しくない
・お菓子への敬意
・一口で完結する
ということがあるようです。
同席した客への気遣いや
お菓子そのものや
お菓子を作ってくださった方への敬意
物事をごちゃ混ぜにしたいという
お茶の心などが根底にあるようです。
考えてみれば、
私は普段、自分がどんなふうに
モノを食べているのかなんて
ほとんど意識していません。
お煎餅をパクッと齧る。
普段、大きすぎるものは
手で割って食べたりしています。
でも、お茶のお菓子を割って食べる
という発想はなかったのです。
薄い麩焼きせんべいは
割ったりすると、
ポロポロと粉が飛び散りそうな気がして
そちらの方が不作法かとも思っていました。
歯形の方がダメだったんだと
始めて知りました。
そして、
先生に言われて初めて、
自分の動作を
外から見るような感覚になりました。
お茶のお稽古をしていると、
こういうことがよくあります。
自分では普通にしているつもりなのに、
自分の動作がいかに雑で、
美しくないかに気づかされるのです。
もちろん、
普段お煎餅を齧って食べたからといって、
不作法だと言われることは
ほとんどないでしょう。
けれど、
一緒にいる人の目には
どのように映るのか。
食べ物をどのように扱っているのか。
一つひとつの動作に
少し意識を向けてみると、
いつもの何気ない振る舞いも
違って見えてきます。
自分の姿は、
自分ではなかなか見えません。
だからこそ、
誰かに教えてもらうことで
初めて気づくことがある。
そして、
気づけば変えることができます。
お茶のお稽古は、
お点前を覚えるだけではなく、
自分でも気づいていなかった
自分に出会う時間でもあるのですね。
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オフィス空(義永直巳)
京都府京都市中京区油屋町89
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